政府税制調査会は、所得税改革で配偶者控除の見直しを示し
現行の所得控除方式から税額控除方式への変更を
検討していると報道されていました。
この2つの方式はどのような違いがあるのでしょうか。
所得税は、所得(収入-経費)から社会保険料や生命保険、
配偶者などの控除(所得控除)を差引いた金額に税率をかけ
税額を計算します。
住宅ローンなどがある場合は、その税額からさらに
差し引かれます(税額控除)。
所 得 (収入-経費 ) 3,000 | |||||
課税される所得 2,800 | △ 所得控除 (A) 200 | ||||
課税される所得 × 税率 10% (※) = 税額 | |||||
税 額 280 | △ 税額控除 (B) 50 | ||||
所得税額 230 | |||||
(※) 税率は、実際の率とは異なります | |||||
(A) 社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除など | |||||
(B) 住宅借入金等特別控除、配当控除など |
2つの控除の違いは、
所得控除(A)が、税率をかける前で控除するのに対し
税額控除(B)は、税率をかけた後で控除することにあります。
図の例によれば
もし、所得控除(A) 200を税額控除(B)にした場合
税額は300で、そこから200を控除し所得税額は100、
税額控除方式であれば所得税額方式より
130少ない税額となります。
また、所得税の税率は累進税率であり、
所得の金額により5%から45%の税率があります。
そのため、所得控除(A)では所得者の適用される税率により
税額に違いがでてきますが、
税額控除(B)は、税率をかけた後となるため
税率の違いによる差はありません。
課税される所得が 3,000、所得控除が 0として
所得控除方式では、
税率 45%の場合 1,350の税額に
税率 5%の場合 150の税額になります。
所得控除を 200にすると、
税率 45%は1,260の税額になり90減額
税率 5%は140の税額になり10減額。
税率が高い所得者により減額の効果がでることになるのに対し
税額控除方式では適用される税率にかかわらず
同額の減額となります(所得税額を限度)。
このように、 所得税方式では所得の違いにより差がでますが
税額控除方式では、所得税額を限度とするものの
所得による違いはありません。
2016-12-02